INTERVIEW

髙橋 茂清

TAKAHASHI SHIGEKIYO

木沢記念病院 初期研修管理委員長

研修一年目の

心地いい忙しさ

研修一年目の

心地いい忙しさ

初期研修の大切な心構えっていうと、どんなことでしょうか?

僕も最初のころに指導医に聞かされて今も自分の中で大切なこととしてあるのは、患者さんのことをどう思って働くかっていうことで。自分にとっての家族のような。自分の親だったらどうするか?
自分だったらどうしてほしいか?
そういう観点で考えることが医療の原点で、それが一番大事なことかなと思うね。
だから初期研修の先生も、病院はもう自分のマイホームで、病院のスタッフは自分の家族だって思ってもらってくれたら。
僕らは基本的に、廊下とか階段ですれ違う人全員に会釈する、挨拶する。それがスタッフであっても患者さんであっても患者さんのご家族であっても。そこはたぶんうちの病院のいいところっていうか。なかなかそういう病院はないと思うんだけど。
全国のいろんなところから研修医の先生が集まってくるわけだけど、そんな中でここが自分の家だよ、自分の家族と仕事するんだよ、そういう思いで対応していくんだよっていうのが、最終的には自分が患者さんにとっていい答えを選択できることに繋がる。そういう医療をやってってほしいなと思うんだよね。

初期研修の先生にとって、医療現場は初めてなわけですよね? やはり、最初は不安ですよね?

そうだね。国家試験に受かったっていうだけで、よちよち歩きで何もできないですね。

その不安を乗り越えるためにはどうするのが一番いいんですか?

僕自身ももちろんそういう道を歩んできたわけだけど、すべての経験は自分の糧になる、ということかな。結局、一症例、一症例を大事にするってことが、最終的には自分をステップアップさせる一番近道っていうかね。
「すごく本を読んだよ」っていうことよりは、やっぱり自分が体験したことを大事にする。患者さんから学ぶことも非常に多くて、そうやって一人ひとりの患者さんをみんなみんな大事にしてやっていくっていうのが、いちばん大事なことかなあと思うんだけどね。

髙橋先生も最初のころは不安でしたか?

そりゃそうだよね。
ただ、今とちょっと研修制度が違うからね。僕らのころは今ほど研修制度がしっかりしてなかったから、いきなりポーンと野に放たれるような状況だったけど。
ただ、「最初は自分じゃ何もできない」っていうことはみんなわかってると思うんだけど、そうはいってもね、いつまでもよちよち歩きじゃダメで。どこかのタイミングで殻を打ち破って一歩踏み出す、っていうことが大事になってくるから。そのときにはまあ、上級指導員の温かいサポートのもとで一歩いっぽ足を進めていけることが木沢記念病院の特色でもあって、いいところかなと思ってます。

いつかどこかで殻を打ち破って一歩踏み出さなきゃいけないというのは、それは例えばどういうことを言っているのですか?

まあ、判断なんだよね。

自分で判断しなきゃいけない、ということ?

そうだね。
最初はもちろん、10困ったことがあったら10相談して、10指示を受けて進める必要があるんだけど、どこかのタイミングで、1は自分で考えるようにしよっか、それを2に、3に、5に増えるっていうかたちで自分がやれる範囲をどんどん増やしていかないといけない。
そういうのは毎日のステップアップだと思うし、もちろん研修も2年生になると1年生を教える指導役っていうのがついてくるわけだしね。下から頼られる存在になって、そんな中で新たな疑問も出てくるだろうから、それはまた上に相談するか、もしくは自分で調べるか、そういう判断をしていかなきゃいけないときがあるから。
そういうステップアップの過程っていうのを大事にしてほしいな。そういう意味で、一日いちにちを大切にっていうのは非常に大事なことかな。

ほかの病院にはなかなかない木沢記念病院の良さって言うと、どんな面がありますか?

まず症例数がどの分野に関しても非常に豊富にあるっていうね。手術の数だったり患者さんの数、手技の件数に関しては一つの大きなポイントになってて。
地域の中核病院なのでいろんな症例が集まってくるし、「この地域で医療を完結せにゃいかん」っていうのがあるので。つまり「困ったらどこかに搬送しておしまい」っていうふうにはならない。自分たちの中でしっかり完結させる必要があるから、最初から最後まで患者さんを診ることができる。だから得るものが大きくて。そこがこの病院の魅力ですよね。
それとさっき話したマイホームのようなっていう話で、限られた地域でコミュニティとしてはそんなに広いわけでもないから、患者さんの家族ともすごく仲良くなるというか。信頼されて交流していくっていうことがあって。そういうところはドクターとしての冥利っていうか、大きなやりがいになると思うね。

実際、髙橋先生自身がこの地で医療を長らくやってきたなかで、そんなエピソードがあるんですか?

僕もここで20年やっていると、前はお父さんを診てた時代から、今、息子さんの世代が病気になられて診てるっていうのがあって。「昔、父親が先生に治してもらいました」とか言われると、「ああ、このエリアでずっと頑張ってきた証なんだな」っていうのはね、思うことがあって。
患者さんは僕のことをよくわかってるし、僕も患者さんのことをよくわかってる。そういう医師・患者の関係、治療関係のすごくいい結び方ができてるのかなって。それはこういう地域じゃないとね。東京の都会のど真ん中ではあり得ないことで、地域医療の魅力。医療者にとってはこれは醍醐味かなあと思ってて。こういうところは今後も大事にしていきたいし、初期研修で入ってくる子たちにも「こういうことがあるんだよ」って。これはなかなか大学時代にはわからないことだし、当然教えられることでもないし。僕もこうして長く働いてみて気づいたこと、わかったことっていうのがあってね。地域医療っていうのはこういうかたちなんだなっていう。
理事長の方針としても、「病気を診るんじゃなくて病人を診なさい」ってね。その人全体をしっかり診れるようになりなさいっていう。よく全人的医療っていうんだけど、それが僕たちの方針としてあるので。
地域だったらなおさらね、そういうことを実践していくと、すごく自分にとって勉強になるし得られるものが大きいわけで。

今医療の世界に入ろうとしている若い先生がこれからの時代を生きていくためには、どんなことが求められると思いますか?

知識量っていうのが、どんどん増えていってる。それこそ教科書を比べても20年前と今とじゃだいぶ変わってるんだよね。相当増えてる。つまり前はわからなかったことがわかるようになってきた、現代医療が進歩してるっていう側面があるわけだけど、必要とされる知識がそれだけ増えてるから、なかなか今は時間が足りないわけで。1日24時間っていう限られた時間の中で、どうやったらよりいい実習をしていけるかっていう、そういう意識を持ってほしいね。
それと人生という観点からすると、若いころの経験ってほんと大事。だからいろいろな経験をしてほしい。例えば海外留学だったりとかね。留学までいかなくても、海外の文化を体験するっていう意味で1週間、2週間の旅行とかでもいいよ。
そうやっていろんな文化を吸収してほしい。こういうことって現場で必ず役立つと思うんでね。いろんな経験をすることで医療人としての基礎をしっかりつくってもらうのがこの2年間かなと思ってて。そういうことを意識してやってもらえるといいのかなあと。

今日はありがとうございました。

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髙橋 茂清

TAKAHASHI SHIGEKIYO

木沢記念病院 初期研修管理委員長

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